1.マゴクのゴグについての預言
エゼキエル書38、39章に、ゴグ・マゴクの戦い、あるいはエゼキエル戦争と呼ばれる戦いについての預言があります。この戦いが大艱難時代の前に起こるという教えを聞きますが、この戦いはイエス様が来られて全ての悪を取り除く日、つまり主の日の戦いに関係していると思われます。
エゼキエル38:17
神である主はこう仰せられる。あなたは、わたしが昔、わたしのしもべ、イスラエルの預言者たちを通して語った当の者ではないか。この預言者たちは、わたしがあなたに彼らを攻めさせると、長年にわたり預言していたのだ。
エゼキエルによると、イスラエルの預言者たちは長年、「神がゴグに彼らを攻めさせる」と預言してきました。預言者たちは神の御計画について様々な角度から語り、重大な出来事は何人かの預言者が繰り返し語っています。既に成就した預言を除くと、その預言のほとんどは、主の再臨、終わりの日の戦い、神の御計画の最終的実現についてでした。
そこで、エゼキエル書38章からゴグ・マゴグの戦いについて調べ、他の旧約預言から似た内容の預言を捜し出し、ゴグとは何者か、「いつ、誰を、どのように」攻めるのかを探ってみます。
① ゴグとは何者か:ゴグと連合軍
まず、ゴグ自身とゴグの国について、またこの戦いに参加する連合国について確認します。
エゼキエル38:2~7
「人の子よ。メシェクとトバルの大首長であるマゴグの地のゴグに顔を向け、彼に預言して、言え。神である主はこう仰せられる。メシェクとトバルの大首長であるゴグよ。今、わたしは、あなたに立ち向かう。わたしはあなたを引き回し、あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、あなたの全軍勢を出陣させる。それはみな武装した馬や騎兵、大盾と盾を持ち、みな剣を取る大集団だ。ペルシャとクシュとプテも彼らとともにおり、みな盾とかぶとを着けている。ゴメルと、そのすべての軍隊、北の果てのベテ・トガルマと、そのすべての軍隊、それに多くの国々の民があなたとともにいる。備えをせよ。あなたも、あなたのところに集められた全集団も備えをせよ。あなたは彼らを監督せよ。
ゴグはヘブライ語で「山」という意味です。大首長であると訳されていますが、ロシュと訳されている聖書もあります。ロシュは、黒海とカスピ海より北側の地域、ロシアを指すと言われています。
メシェク、トバル、マゴグはヤペテの子孫です(創世記10:20)。
メシェクとトバルは小アジアにあり、現トルコの北東地域であると考えられています。
メシェクはモスクワの語源で、ロシアへ進出した人々を指し、トバルはトボリスクの語源で、シベリアへ進出した人々を指すと言われています。
マゴグは「ゴグの地」という意味で、その場所は黒海とカスピ海周辺のコーカサス地方とウクライナ、その東方のジョージア、ウクライナ、~スタンと付いている旧ソ連南部の国々を指すと考えられています。マゴグはさらに地中海とヨーロッパに進出したスキタイ人(遊牧騎馬民族)であると言われています。
ですからゴグは、ロシア、シベリア、地中海・黒海・カスピ海の周辺、旧ソ連の地域で最高位に着く者であると考えられます。
ゴグは、ペルシャ(現在のイラン)、クシュ(エチオピア、スーダン)、プテ(リビア)、ゴメル、ベテ・トガルマを連合軍として従えています。
ゴメルもヤペテの子孫でアシュケナズ、リファテ、トガルマの父であり、トルコあたりから後にドイツに移住した人々であると言われています。
ベテ・トガルマは、アルメニアとトルコあたりから北の果てに移動したと推測されています。
エゼキエルによると、神ご自身がゴグを任命し、イスラエルの北と南の国々――現代の地名に当てはめるなら、旧ソ連の構成国、ヤペテの子孫の国々、イラン、トルコ、北東アフリカ諸国――の連合軍にイスラエルを攻撃させます。これらの国々は、イスラエル民族の存在を認めないイスラム教過激派組織が活動する地域でもあります。
最近のロシアは、イスラエル殲滅を目論むイランと軍事協定を結び、イランの空軍基地を使用しています。また、シリアの港に軍艦、潜水艦を係留させ、イスラエル包囲を進めています。トルコはイスラエルとの友好関係を破棄し、イラン・ロシア・トルコの三国協定が結ばれています。
現代は、エゼキエル38章に記された戦いのために、ゴグの連合軍が揃いつつあると言えます。
② 平和で安心しているイスラエル
ゴグはいつ、どこに侵攻し、その目的は何でしょうか。
エゼキエル38:8~11
多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、一つの国に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみな安心して住んでいる。あなたは、あらしのように攻め上り、あなたと、あなたの全部隊、それに、あなたにつく多くの国々の民は、地をおおう雲のようになる。神である主はこう仰せられる。その日には、あなたの心にさまざまな思いが浮かぶ。あなたは悪巧みを設け、こう言おう。『私は城壁のない町々の国に攻め上り、安心して住んでいる平和な国に侵入しよう。彼らはみな、城壁もかんぬきも門もない所に住んでいる。』
ゴグは終わりの年に一つの国を攻撃します。それは、剣の災害から立ち直り、多くの国々の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に、安心して住んでいる平和な国、イスラエルです。
イスラエル民族は約1900年間の世界離散の後、ホロコーストを生き延び、聖書時代と同じイスラエルの地に1948年に再建国しました。140か国以上から帰還したユダヤ人が住み、今も各国から帰還が続いています。イスラエルは建国以来、ユダヤ人とユダヤ人国家の存在を認めない周辺アラブ諸国との数々の戦争を生き延びて来ました。最近まで、ハマスやヒズボラなどのイスラム教過激派組織から頻繁にテロ攻撃を受け、ミサイル警報を聞いてシェルターに飛び込む生活が続いていました。
イスラエルは現在、世界トップレベルの軍事力を持つ先進国であり、トランプ政権下でサウジアラビヤ、UAEなどの穏健派イスラム教国家と国交を回復し、協力関係を強めています。
将来はイスラム諸国との戦争が終わってイスラエルの生存権が認められるようになり、エルサレムにはユダヤ教の神殿が建ち、あらゆる宗教が平和に共存する時が来ると考えられています。その時、聖書的価値観は取り下げられ、愛・平和・人権・共存などの名目で全ての宗教が尊重し合い、あらゆる性的多様性が認められて、ソドムとゴモラの時代のようになると考えられています。それが大淫婦バビロンの時代です。イスラエルはその時、偽りの平和に安心しきっていることでしょう。
ゴグはイスラエルから物を分捕り、獲物をかすめ奪い、銀や金や家畜や財産を略奪するために侵略して来る(38:10~13)のかもしれません。近年、イスラエル領海に巨大天然ガス田とスーパー油田が発見されてEU諸国への輸出を進めており、これまで欧州に石油を売っていたロシアの反感を買っています。
イスラエルは医療・情報・通信・セキュリティ部門だけでなく、砂漠の農地化、海水の淡水化など農業・水産業技術にも優れており、世界がイスラエルのスタートアップ企業に莫大な投資をしています。ゴグは、このように平和で大変豊かになったイスラエルに侵略して来るのです。
ゴグは終わりの年に、平和で繁栄しているイスラエルを攻撃します。
③ 終わりの日に奮い立つゴグ
エゼキエル38:14~16
それゆえ、人の子よ、預言してゴグに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民イスラエルが安心して住んでいるとき、実に、その日、あなたは奮い立つのだ。あなたは、北の果てのあなたの国から、多くの国々の民を率いて来る。彼らはみな馬に乗る者で、大集団、大軍勢だ。あなたは、わたしの民イスラエルを攻めに上り、終わりの日に、あなたは地をおおう雲のようになる。ゴグよ。わたしはあなたに、わたしの地を攻めさせる。それは、わたしがあなたを使って諸国の民の目の前にわたしの聖なることを示し、彼らがわたしを知るためだ。
ゴグは奮い立ち、大軍勢を率いて「わたしの地」つまりイスラエルの地を攻めます。それは終わりの年(38:8)の終わりの日(38:16)ですから、終末の最終戦争のことです。旧約時代の多くの預言者たちは、神の大いなる日の戦い(主の日の戦い)について預言しました。終わりの日は神の御怒りの日とも言われ、イエス様が天から来られてすべての敵を滅ぼされる時です。
イスラエルの神がゴグと連合軍にご自分の地を攻めさせるのは、「諸国の民の目の前にわたしの聖なることを示し、彼らがわたしを知るため」です。偽りの神々に仕え、悪を行っていた諸国の人々が主こそ神であると知り、悔い改めて真の神に立ち返るためです。そのことが実現するのは「世の終わり(今の時代が終わる時)」です。
父祖の神から離れ、肉に頼り、自分たちの使命を忘れていたイスラエル民族も、神が預言を実現されたことを知って神に立ち返ります。そして再臨されたイエス様を仰ぎ見て民族的に救われるのです。
それは世の終わりの最後の悔い改めの時であり、怒りのぶどうが踏まれ、麦が収穫される日、つまり滅ぼされる者と救われる者とが明確にされる日です(参照:「麦と毒麦」「地の刈り取りと怒りのぶどう踏み」)。
ゴグは終わりの日に、地をおおう雲のように、大軍勢を率いてイスラエルを攻めます。その時、主こそ神であることが明らかにされ、神に敵対する者は滅ぼされてしまいます。
2.ゴグ・マゴグの戦いについて預言した預言者たち
エゼキエル38:17
神である主はこう仰せられる。あなたは、わたしが昔、わたしのしもべ、イスラエルの預言者たちを通して語った当の者ではないか。この預言者たちは、わたしがあなたに彼らを攻めさせると、長年にわたり預言していたのだ。
終わりの日に、神の命令で諸国の軍勢を率いてイスラエルの地に攻め込む人物はマゴグの大首長ゴグです。預言者たちは長年そのことを預言していました。
「マゴグの地のゴグ」という名称は、旧約聖書ではエゼキエル書38~39章に記されているだけです。黙示録20章には、イエス様が再臨されてメシア王国が始まってから千年後、サタンが幽閉から解かれ、地の四方にあるゴグとマゴグを惑わして戦いのために召集する(20:7~9)と預言されていますが、これは別の戦いです(エゼキエル書では、ゴグ・マゴグの戦いの結果、イスラエルと諸国民が主を知ることになるので、これは千年期の前に起こる戦いです)。
そこで、エゼキエル預言と似た預言があるか、他の預言書を調べてみましょう。
① エレミヤ: バビロンを攻める北からの軍隊
エレミヤ50~51章には、北の大国と国々の王たちがバビロンを攻撃するという預言があります。
エレミヤ50:9、41~43
見よ。わたしが、大国の集団を奮い立たせて、北の地からバビロンに攻め上らせる。彼らはこれに向かって陣ぞなえをし、これを攻め取る。・・・・見よ。一つの民が北から来る。大きな国と多くの王が地の果て果てから奮い立つ。彼らは弓と投げ槍を堅く握り、残忍で、あわれみがない。その声は海のようにとどろく。バビロンの娘よ。彼らは馬に乗り、ひとりのように陣ぞなえをして、あなたを攻める。バビロンの王は、彼らのうわさを聞いて気力を失い、産婦のような苦しみと苦痛に捕らえられる。
北にある大きな国と多くの王が奮い立ち、地の果て果てからバビロンに攻めて来ます。これは、マゴグのゴグとその連合国がイスラエルを攻めるというエゼキエルの預言に似ています。
エレミヤはかつてのバビロン帝国の滅びだけではなく、終末の大バビロンの滅びについても預言していたと思われます。50章、51章のバビロン攻撃の描写は、当時の戦いの記録とは異なっているのです。
バビロン(新バビロニア帝国)は城壁で囲まれた都市でした。敵軍が攻め込むことができないように、城壁の周りに水路をめぐらしてユーフラテス川の水を引き、鉄壁の防御を誇っていました。BC539年、ペルシャのクロス王は、夜中に川の水を別の水路に流し、城壁の外の水路を歩けるようにし、開かれていた門を通って内部に侵入しました。するとバビロンはメディア・ペルシャ軍にあっけなく降伏し、クロス王は戦わずに勝利したのです。
ですから、次の預言はまだ成就したわけではありません。
エレミヤ51:2、4、52、54~55、58
他国人たちをバビロンに送る。彼らはこれを吹き散らし、その国を滅ぼす。彼らは、わざわいの日に、四方からこれを攻める。・・・刺し殺された者たちが、カルデヤ人の国に倒れ、突き刺された者たちが、そのちまたに倒れる。・・・刺された者がその全土でうめく。・・・聞け。バビロンからの叫び、カルデヤ人の地からの大いなる破滅の響きを。主がバビロンを荒らして、そこから大いなる声を絶やされるからだ。その波は大水のように鳴りとどろき、その声は鳴りどよめく。・・・バビロンの広い城壁は、全くくつがえされ、その高い門も火で焼かれる。国々の民はむなしく労し、諸国の民は、ただ火に焼かれるために疲れ果てる。
また、当時バビロンに捕囚されたユダヤ人たちに対する主の御心は、その地に住み着き、生活を築き上げ、子孫繁栄することでした。70年後にクロス王によって帰還が許され、王の援助でエルサレムを再建することが神のご計画だったのです。現地で繁栄していたユダヤ人たちの中には、エルサレムに帰らず、その地に留まった者が多くいました。今、中東のイスラム圏に住んでいるユダヤ人たちは、その子孫です。
ですから、次の預言は当時のユダヤ人に語られたことではありません。
エレミヤ51:6 、45,50
バビロンの中から逃げ、それぞれ自分のいのちを救え。バビロンの咎のために断ち滅ぼされるな。これこそ、主の復讐の時、報いを主が返される。・・・わたしの民よ。その中から出よ。主の燃える怒りを免れて、おのおの自分のいのちを救え。・・・剣からのがれた者よ。行け。立ち止まるな。遠くから主を思い出せ。エルサレムを心に思い浮かべよ。
主の復讐の時は、主の大いなる御怒りの日のことです。
50、51章が終末預言であることは次の箇所から判ります。
エレミヤ50:4~5、20
その日、その時、──主の御告げ──イスラエルの民もユダの民も共に来て、泣きながら歩み、その神、主を、尋ね求める。彼らはシオンを求め、その道に顔を向けて、『来たれ。忘れられることのないとこしえの契約によって、主に連なろう』と言う。・・・・その日、その時、──主の御告げ──イスラエルの咎は見つけようとしても、それはなく、ユダの罪も見つけることはできない。わたしが残す者の罪を、わたしが赦すからだ。」
このようなイスラエルの悔い改めと完全な罪の赦しは、まだ実現していません。
バビロン捕囚から帰ってきた民は律法主義に陥り、約束されていたメシアを受け入れず、イエス様を十字架につけてしまいました。一部のユダヤ人たちはイエス様の弟子として世界に福音を伝えましたが、今でもまだ、多くのユダヤ人たちはイエス様を拒否したままです。世の終わりにイエス様がイスラエルの全ての敵を滅ぼされた時、イスラエルはやっと自分たちのメシアを悟り、長い間イエス様を拒否し続けたことを嘆き、悔い改めることになります。
ゼカリヤ12:10~11
その日、わたしは、エルサレムに攻めて来るすべての国々を捜して滅ぼそう。わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、恵みと哀願の霊を注ぐ。彼らは、自分たちが突き刺した者、わたしを仰ぎ見、ひとり子を失って嘆くように、その者のために嘆く。
主が国々の軍隊に堕落したエルサレムを攻撃させます。ユダヤ人はイエス様がその軍隊を滅ぼされるのを見て悔い改め、主に立ち返るのです。ですから、エレミヤ50~51章のバビロンは終末のエルサレムを指しています。終末時代にはエルサレムは不品行と魔術の中心地となり、大淫婦バビロンと呼ばれるようになるのです。(参照:「再臨と終末(10)バビロンの起源と終末の大バビロン」、「再臨と終末(11)大バビロンの滅びとエルサレムの贖い」)。
エレミヤ51: 47~48、56~57
それゆえ、見よ、その日が来る。その日、わたしは、バビロンの刻んだ像を罰する。この国全土は恥を見、その刺し殺された者はみな、そこに倒れる。天と地とその中のすべてのものは、バビロンのことで喜び歌う。北からこれに向かって、荒らす者たちが来るからだ。・・・・荒らす者がバビロンを攻めに来て、その勇士たちは捕らえられ、その弓も折られる。主は報復の神で、必ず報復されるからだ。「わたしは、その首長たちや、知恵ある者、総督や長官、勇士たちを酔わせる。彼らは永遠の眠りについて、目ざめることはない。
主はバビロンに報復するために北から荒らす者を起こされます。ゴグも北から攻めてきます。
またイザヤは、終わりの日に東から来る者についても言及しました。
イザヤ46:10~11
わたしは、終わりの事を初めから告げ、まだなされていない事を昔から告げ、『わたしのはかりごとは成就し、わたしの望む事をすべて成し遂げる』と言う。わたしは、東から猛禽を、遠い地から、わたしのはかりごとを行う者を呼ぶ。わたしが語ると、すぐそれを行い、わたしが計ると、すぐそれをする。
わたしのはかりごとを行う、東の遠い地から来る猛禽とは、残虐・凶暴な軍隊のこと、エゼキエルの預言したペルシャ軍のことかもしれません。これも終わりの事です。
エレミヤ51:1~2
主はこう仰せられる。「見よ。わたしはバビロンとその住民に対し、破壊する者の霊を奮い立たせ、他国人たちをバビロンに送る。彼らはこれを吹き散らし、その国を滅ぼす。彼らは、わざわいの日に、四方からこれを攻める。」エゼキエル38:14
それゆえ、人の子よ、預言してゴグに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民イスラエルが安心して住んでいるとき、実に、その日、あなたは奮い立つのだ。
終わりの日、ゴグは神によって奮い立ち、大バビロン(イスラエル)を攻めると考えられます。
② イザヤ13章: 天の果てから来る主の憤りの器
イザヤも、天の果ての遠い国から軍隊が召集されると預言しています。
イザヤ13:1、3~6、9~13
アモツの子イザヤの見たバビロンに対する宣告。・・・わたしは怒りを晴らすために、わたしに聖別された者たちに命じ、またわたしの勇士、わたしの勝利を誇る者たちを呼び集めた。聞け。寄り合った王国、国々のどよめきを。万軍の主が、軍隊を召集しておられるのだ。彼らは遠い国、天の果てからやって来る。彼らは全世界を滅ぼすための、主とその憤りの器だ。泣きわめけ。主の日は近い。全能者から破壊が来る。・・・ 見よ。主の日が来る。残酷な日だ。憤りと燃える怒りをもって、地を荒れすたらせ、罪人たちをそこから根絶やしにする。天の星、天のオリオン座は光を放たず、太陽は日の出から暗く、月も光を放たない。わたしは、その悪のために世を罰し、その罪のために悪者を罰する。不遜な者の誇りをやめさせ、横暴な者の高ぶりを低くする。・・・わたしは天を震わせる。万軍の主の憤りによって、その燃える怒りの日に、大地はその基から揺れ動く。
これもバビロンに対する宣告です。神がバビロンに対して怒り、遠い国から軍隊を呼び集め、地を荒れ廃らせ、世を罰し、悪者を罰し、罪人たちを根絶やしにされます。主の日、燃える怒りの日とは、いよいよイエス様が天から現れ、悪者を滅ぼされる日ですから、バビロンとは終末の大バビロンであると考えられます。
その日には、天の星、オリオン座、太陽も月も光を放たず、大地は基から揺れ動くとあります。
黙示録では、第五の鉢が獣の座にぶちまけられると獣の国が闇に覆われ(16:10)、第七の鉢で未曽有の大地震が起こります(16:18)。
イエス様は、「苦難の日の後、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、人々は、人の子が輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見る」と言われました(マタイ24:29~31)。大艱難の最後に天地が闇になり、イエス様が栄光に輝きながら来られます。その日、悪人は滅ぼされ、義人の救いが完成します。バビロンが遠い国々の軍隊に攻撃されるなら、主の来臨はもうすぐです。
遠い国、天の果てから来る軍隊は、全世界を滅ぼすための主とその憤りの器ですから、これは主の再臨前の戦い、終わりの日の戦いです。マゴグの地はイスラエルからは遠く、天の果てと言えます。イザヤ13章もゴグについて預言している可能性があります。
憤りの器とは何でしょうか? パウロは、神の怒りによって滅ぼされる器を「怒りの器」と呼び、神がご自分の栄光を知らせるために救われる器を「あわれみの器」と呼んでいます(ローマ9:22~23)。ですから憤りの器とは、神が憤りを向ける器という意味に受け取れます。神が憤り、その器を用いて悪者や罪人たちを罰せられると同時に、その器自体に対しても憤り、罰せられるのでしょう。そのようにして罪人たちを根絶やしにされるのです。
主は、世の終わりに全世界を滅ぼすための「憤りの器」として、ゴグの軍隊を召集されると考えられます。
3.まとめ
ゴグと連合国について調べ、現代の世界情勢を合わせて考えてみました。また、終わりの日に北からイスラエルに攻め込む軍隊について、エレミヤとイザヤの預言書を調べました。それらの預言は、マゴグのゴグについて預言していた可能性があります。
・エレミヤ: 北から大きな国と多くの国が来て、バビロン(エルサレム)の偶像礼拝を罰する。主が復讐され、人々は剣で刺し殺される。バビロンは激しく破壊され、火で焼かれる。ユダヤ人たちはバビロンから逃げ、泣きながら主を訪ね求める。その時、彼らの罪は完全に取り除かれる。
・イザヤ: 主の日に「遠い国、天の果て」から全世界を滅ぼす「憤りの器」が召集され、主は燃える怒りを持って罪人たちを根絶やしにされる。その日、太陽・月・星が暗くなり、大地震が起こる。
総合すると「ゴグ・マゴグの戦い」についてどんなことがわかるでしょうか?
ゴグは終わりの日に主によって奮い立ち、北の国々から軍勢を集めて平和なイスラエルに攻め込みます。それは、主が大バビロンと世界の悪を罰し、諸国の民の目の前にご自分の聖なることを示し、人々が真の神を知るためです。ゴグは「主の御怒りの日」に、神が全世界を滅ぼすための「神の憤りの器」なのです。
次回は「ゴグ・マゴグの戦い」の結末について、そして世の終わりの戦いである「ハルマゲドン」との関係について、エゼキエル39章と黙示録と合わせて学びます。
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